- 慎(シン。-
はあ。
「どうしたの、慎君?」
「ああ・・・」
世界を大切に想う反面、
迫害された過去を思い出す。
良い想い出もあった筈だが、
それを凌駕する苦痛だ。
俺のような奴は他にも居て、
苦しんでいる事。
その事が、思い浮かんだ。
失った筈の過去の記憶。
そして、苛む声が今でも、
聞こえない筈の
右耳から聞こえてくる。
そして、悲しみのほかに、
怒りがこみ上げてくる。
「お前は不良連中みたいに、
障害者を狙ったりするなよ?」
「うん、しないよ。」
苛々して、頭痛がする。
「ならいいけど。」
「他ならいいの?」
分からない。
sin