慎(SIN。

虚構シリーズなどを掲載

無二無二

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- 慎(シン。-

「お父さんを思う度に、

お父さんが憎悪や復讐に走るまで

一体どれだけ悩み苦しんできたのかって

あたしは思ってたよ。

皆は、お父さんはただの人殺しだって言うけど、

あたしにとっては無二のお父さんに変わりない。」

「有難う、愛。優しいな。お母さんに似て。

そして、お父さんはただの人殺しじゃない。

元ただの人殺しだ。胸を張って、言い張れる。」

「ふふ。」

「はは。」

―――― 狼人間、殺人ピエロ。

ホラー映画でよく出て来るけど、

実際は、重度の病人や被虐待児だった殺人犯が

モデルになっていたりする。

それを、人々は、結果だけ見て、娯楽として消費する。

結果論の悪い所は、過程で起きた事を無視している事だ。

その過程の間、どれだけの間違いが起きたのか、知ろうとしない。

間違っているのは、周囲だという場合も、少なくない。てか多い。

―――― けど、俺は違った。

だからこそ、憎悪と復讐に走るしかなかった。

けど、その道中、なんやかんやで彼女が生まれた。

感動よりも、複雑さだった。

俺は感動できるほど、恵まれてない。

殺戮を繰り返すばかり。

俺に影響されて、殺人犯になった奴もいっぱい居る。

そんな世の中で、この子はどう生きてくんだろう。と。

けど、俺の不安を超えて、彼女は逞しく育った。

俺は本当に弱かった、けど彼女は本当に強い。

女は強いとかほざく女共よりも、よっぽど屈強だ。

「愛・・・お前を作って良かった・・・」

と、やっと偽善臭い台詞を言えた。

「あたしも。」

腕揉んで。」

sin